マウリシオ・ギジェン
「Yoo Gunaa」

People

2020年3月20日(金)– 4月5日(日)
14:00 – 20:00 金土日営業
オープニングレセプション:3月20日(金)18:00 – 20:00

このたびPeopleでは、メキシコに生まれ国際的に活躍する写真家、マウリシオ・ギジェンの個展「Yoo Gunaa (ヨーグナー)」を開催いたします。
1971年にメキシコで生まれたギジェンは、ニューヨークの美術大学在学中から『Purple』や『Dazed & Confused』、『i-D』といったファッション・カルチャー誌で撮影を手がけてきました。卒業後は移住したロンドンで数多くの企業広告も撮影を担当。近年では写真作品だけではなく、映像作品も発表し、作品はフランクフルト現代美術館など各地の美術館に収蔵されています。
本展のタイトル「Yoo Gunaa(ヨーグナー)」とは、メキシコ南部オアハカ州の先住民サポテカ族の言葉で「母胎」を意味します。メキシコでは2017年9月7日に大規模な地震が発生。サポテカ族が多く暮らすオアハカ州フチタンにも、伝統的な建造物が崩壊するなど甚大な被害がもたらされました。現地を訪れ、その様子を目の当たりにしたギジェン。「Yoo Gunaa(ヨーグナー)」とは、その旅の記録であり、母系社会という独自の文化と伝統が残るフチタンでのギジェンの思索をたどることができます。

作家ステイトメント

「トゥーレの木 私を根で包み、満たし、そして家へと帰しておくれ」――ナタリア・トレド『カニの背中』より

最初の家、母親の胎内。最後の家、墓の静寂。
家が私を形作り、私が家を形作る。性別がまだ決まっていない身体をどう生きるのか、破壊しながら創造し、創造しながら破壊する。変容せずに、どのように世界を認知し生きるのか。
オアハカ州のフチタンで甚大な被害を引き起こした2017年9月7日の地震の後、何を取り壊し、何を保存すべきなのかという緊急の問題が生じた。政府が提供する不完全な情報と生活の改善に向けた約束にもとづき、建設会社はコミュニティをブルドーザーでならし、文化財を破壊し、集団的記憶に取り返しのつかない空白期間をつくりだした。オアハカ州のイクタルテペックの事例である。この地域では「バハレケ」と呼ばれる先住民サポテカ族の伝統的、土着的な方法で建てられる家屋が存在していたが、先の地震でそのほとんどが崩壊した。私はこうした状況のなか約30年ぶりに故郷に戻り、五里霧中のなかフチタンの瓦礫のなかをさまよった。「ヨーグナー」(サポテカ語で母胎を意味する)はその旅の記録である。
ここに紹介する一群の写真は、アドベ(日干しレンガ)の記憶とコンクリートの夢が共存する現在のサポテカ族文化の複雑性を時の流れの中に繋ぎ止め、そのへその緒にしっかりとしがみつく、私のささやかな試みである。

マウリシオ・ギジェン、サラゴーサ・デ・フチタンにて、2020年2月2日

Mauricio Guillén
マウリシオ・ギジェン

写真家、映画作家。1971年、メキシコシティで生まれ、パリ、ニューヨーク、ロンドン、フランクフルトを経た後、2018年に故郷へ戻る。最新ショートフィルム「Paris Was Not You」は第17回モレリア映画祭2019でプレミア上映され、現在はフランクフルト現代美術館のコレクションに。現在は初劇映画の準備をしながら、3冊の書籍プロジェクトと、2020年末に、オアハカで初期の写真作品を総括するような展覧会を企画中。